コラム④ 初級研修 AFTER

埼玉コグトレ研究会 山本裕子
 コグトレ初級コース(坂戸地区で3回実施)を受講した方々に声をかけて、具体的な実践の広がりを目指し、これまで9回学習会を実施しました。
 普通級で、学校あるいは学年単位で実施するのはなかなか難しい状況ですが、担任が個別の生徒に実施する、特別支援級で取り組む、通級で取り組む、相談室で担任と話し合って個別に取り組むなど、学習会を通して、継続して取り組める方法を見つけて実践をしているところです。
 その中で、小学3年で個別の生徒に実施した担任の話を紹介します。
〇板書を正しく写せない・簡単な指示が理解できない・課題が終わらない 
〇漢字(小1漢字、ひらがな、カタカナすべて△)計算:繰り下がり引き算×、掛け算×)
〇実施するコグトレの検討(一緒に検討)
板書が写せないことと文字の認知の力が弱いこと、注意力が弱いことに焦点を当てて、視覚認知の強化を考え、写すコグトレ【やさしいコグトレの点・曲線・ゆれる点つなぎ、ひらがなコグトレ、漢字コグトレ(1年)】を実施。
〇実施期間:2学期はじめから3学期修了式前日まで、毎日。
〇実施方法・①宿題(自主学習の代わりに、毎日1枚ずつノートにシートを貼って渡す)
      ②給食後~昼休みのすき間時間に一緒に取り組む。
〇子どもの変化
1. 初めは間違いが多かったが、確認しながら一緒にやるうちに、意欲的に取り組み、やり終わると自分で確認、見直しをする習慣がつき、間違いに気づくようになった。さらに正しく書くことを意識するようになり、正確にできるようになった。
2. 学力自体の変化は小さかったが、集中力・注意する・気づく力がつき、指示も通るようになった。
3. 他の子どもたちも興味を持ち、取り組んでいる本人の周りに集まって、見守ったり確認したりするようになった。周囲の承認は、本人が進んで学級のいろいろなことに積極的に取り組む意欲が増し、自信につながった。
〇保護者も子どもの教室での変化に感謝の涙でした。
〇担任の声 ☆子どもが一人で漢字コグトレをやっていて、しかも正確にできていて感動。
      ☆いつも、子どもをほめている自分に気づいた。
      ☆今後も個別の支援が必要な子どもにコグトレを実施したい。
この実践から、以下のことを確認しあいました。
★一人ひとりがコグトレ学会の様々な書籍で学習を深めながら、子どもの実態と実施可能な範囲や方法を考えて、学会のプログラムを参考にして実施計画を立て、継続して取り組もう。
★何よりも「子どもが主役」常に子どもの反応をキャッチしながら、楽しく取り組もう。
★コグトレの実施は、実施する方法によって「違いを認め、承認しあえる」集団の力を育てることにもつながる。
 学習会は、「無理なく長く続ける」ために、参加者が次回の日程を決め、時間は1時間。参加者に学習会のための特別な資料作成の負担をかけないことにしています。今後もコグトレの学習を深め、実践の広がりを目指して、学習会の継続を考えています。